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続魂みがきの人たち(18)

R美と過ごした時間
R美からの電話が切れた後、何度もかけ直したのですが電源が落ちたままになっています。
また私を呼ぶための芝居かとも思ったのですが、どうもいつもと様子が違うので、車で真夜中の高速をR美のマンションへ向かいました。
その電話から約1時間後、合鍵で部屋のドアを開けると、ソファーに横になったままR美が眠りこけています。
微かに呼吸はしているのですが、揺すっても叩いても目を覚ましません。
ソファーテーブルには睡眠薬らしき錠剤が数十粒散らばって、どの位飲んだのか判断できない状態なので、危険を感じた私はすぐに救急車を呼びました。
救急隊員に事情を説明しましたら、隊員の方はとにかくすぐに胃洗浄をしなければならないと思うので救急外来へ運びます。
病院の方から連絡が来るまでお待ち下さいと言われて。
その後連絡があった病院へ行くと、胃の内容物は洗浄しましたので命には別状ないとは思われますが、多分すぐには目を覚まさないのでお帰り下さいと言われました。
結局、R美は三日間目を覚ましませんでした。
医師の話では、睡眠薬はしっかり致死量に相当する量を飲んでいて発見が遅れれば危険な状態だったとのことでした。
R美は本当に死ぬ気だったのか、
私が駆けつけるのを想定してわざとそうしたのか、
あるいはその両方というかつまり自分の死を賭けて私を試したのか、
その後本人に聞いても返事が曖昧なので今も分かりません。
しかし、その後のR美は少し感じが変わったようになって死ぬとは言わなくなりました。
そんな頃、じわじわと私の会社の雲行きが怪しくなり始めました。
T社長は自分も出資すると言っていたはずなのに、そんなことは言った覚えがないと言い始め、
頼りになる銀行も見つかりませんでした。
同時にベンチャーキャピタルは出資を控えると言うので運命の歯車が逆回転し始めました。
ある時、外でR美と食事をしていたらR美が突然泣き出して、「ラブちゃんの会社潰れちゃうのかなあ…。そうなったらラブちゃん、大丈夫？」と言うので、
「おい、おい、縁起でもないこと言うなよ。」とは言ったのですが、内心女の勘なのかなあと考えていたら、
「ラブちゃん！本当にもしそうなったら私がラブちゃん食べさせてあげるから安心して。」と真面目な顔で言うのです。