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続魂みがきの人たち(12)

ツボ八で酒盛り打合せ
私の保険会社時代の先輩TYさんと社長と私の三人、ツボ八で大宴会となりました。
社長は今の会社を挟むように建っている二つのビルと、過去に土地の権利を巡って争い、その結果今の会社の建物を両側のビルのオーナー会社に建てさせた武勇伝を語ったり、
TYさんは私が20代に保険会社に勤めていた頃の事を、面白おかしく大暴露したりするもんですから、もう大盛り上がりで、飲んで騒いで終いに社長は、
「ああ、こんなに楽しい夜は久しぶりだあ。本当に楽しい！TYさん、俺もそのビジネスやっちゃおうかな。どうかよろしく頼みますよ。で、どうしたらいいの？」とか言い出すもんで、
TYさんも大喜び、「社長！北海道のトップになって下さい！まずは、入会して20万円くらい商品を買ってもらって…」と言いかけると社長は、
「20万？そんなもんで良いの？500万くらい買っても良いから、ビューンと行こうよ！」とか言い出します。
TYさんは「いえ、最初にそんなに買っても意味ないので、徐々に行きましょう。
まずはＫさんの下に入会するということで申込書にサインを下さい」と申込書を取り出しました。
すると案の定、社長の顔色がサッと変わって「Ｋの下だって？TYさんの下じゃあダメなの？」という反応です。TYさんは、チラッと私の方を見て、任せてという感じで
「社長、同んなじことですから、別にＫさんを抜こうと思ったらすぐに抜けますから大丈夫です。ここにサインを。」と言って申込書の署名欄を指差しますと、
「本当に？Ｋを抜けるの。ならいいか…Kの下でも…」と渋々サインをしました。
でもこれは本当で、私より成績が良くて資格が上回ると収入も上になるようなシステムなのです。
社長はこの日からこのビジネスに夢中になって先ずは会社の幹部を次々に入会させます。
S専務にD店長、M部長からＫ店長半ば強制的で、誰も断ることが出来ません。
次に取引先の社長たちにもどんどん話しかけて、入会させて行きます。
でもそのやり方にはちょっと問題があって、本当は会員が下にそのまた下にと伸びていかなくてはいけないのですが、
社長は全部一人でやって自分の直接下につけてしまうので、なかなか下の方に伸びて行きません。
何度もそれは違うと言ったのですが、終いには、「馬鹿野郎！なんで皆と同じにしなくてはいけないんだよ！俺には俺のやり方があるんだ！」
というのでしばらく様子を見ることにしました。