続魂みがきの人たち(2)
HY社長との出会い
電話で指定された時間に、アルバイト情報誌で見つけた会社を訪れました。
教えられた場所に行ってみると、会社は左右の大きなビルに挟まれた2階建ての建物のようです。
手前は店舗になっていて大きな黄色の看板に赤と黒の文字で金券ショップ事務用品と書かれています。
お客さんが何人か来ていて、割と流行っているように見えました。
横の入り口から入ると広く見渡せる大きめの事務室で、入り口近くの応接用の椅子で待つように言われました。
事務室の中は、雑然といろんな物が置かれていて、健康食品、携帯電話、名刺と印鑑や看板のサンプルなど、今にも崩れそうな書類の山も見えます。
本当に何でも屋というイメージで、けっしてお世辞にも綺麗と言える事務所ではありません。
少し待っていると、奥から社長が来て「社長のHYです。あんたか、変な電話かけてきた人」
名刺を受け取って眺めると、真ん中に大きくHYと社長の名前があって左上には、見たことがないような変な赤いシンボルマークの後に社名があり。
裏にはHY社長の二カッと笑った写真と一緒に健康に関しての格言のようなものが書いてあります。
「よろしくお願いします。履歴書持ってきました」と挨拶してから履歴書をわたすと。
HY社長はそれを読みながら「うーん、代表取締役…？同社倒産の為…自己破産…よって現在に至る…。って、これ。こんな人一体誰が雇うの？」
と言うので「ええ、だから仕事が無いんです」
「そんなこと言われても、あんたを雇わなきゃならん理由がわからん」
「どうかそこをなんとか、仕事をさせていただけないでしょうか」
私は過去の保険会社の時の営業実績や新商品開発をやってきた経験などを強調して頼み込みました。
社長は「うーん、けっして若くはないし…。なんとも言えん。履歴書は預かることにするけど、まあ少し考えてから電話するわ」とまでは言ってくれました。
私は再度なんとかよろしくご検討をと、お願いをして帰りました。
その翌日、HY社長から携帯に電話がありました。
「あれからよく考えて、一旦断ろうと思ったんだけと。なんか、あんたのことが気になるっていうか、なんか、心に引っかかるだよな。
そんで、あんた酒飲めるか？俺と一回酒飲まんか？俺は一緒に酒飲んだ奴は大抵どんな奴か直ぐにわかるので、先ずは一杯飲もう。
今週の都合のいい日に、北口のツボ八で飯でも食いながら酒飲んで話しよう」ということになりました。
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