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続魂みがきの人たち(1)

HY社長との出会い
銀座のT社長やOに渡した手形が商工金融会社に渡ったことで、手形が落とせなくなって私の会社は、今からもう何年も前になりますが、その年の 5月に倒産してしまいました。
同時に愛人も発覚。全てを失った私は、テレビと布団しかないアパートを寝場所に、毎日仕事を探していました。
しかし、不景気なこの時期、ただでさえ中年男性の仕事が少ない中、会社を潰したばかりの元経営者に仕事が簡単に見つかるはずがありません。
一体これから自分はどうなってしまうのかと不安な気持ちで一杯でした。
そんな時、コンビニのアルバイト情報誌にちょっと変わったアルバイトの募集を見つけました。
「活性水素水のラベル貼り 女性 35歳位まで」。
「活性水素水」といえば、数日前に確かビートたけしの番組で、健康に効果があると取り上げていた水のはずです。
その時、この水を売れば儲かるだろうなと考えていたことを思い出しました。
それで、募集しているこの会社に電話してみました。
「もしもし、アルバイト情報誌の募集見たんですけど、あの、ラベルを貼る人を新たに雇わなければならないほど売れているんでしたら、営業は要りませんかと社長さんに聞いていただけませんか？」。
電話に出た人は、「はあ？今回はラベルを貼る仕事で、女性を希望しているんですが」と言われるので「それは、わかっております。
ですから社長さんに、それを売るための男性の営業は要りませんかと聞いて欲しいんです」。
などとやり取りしていましたら、その電話の後ろの方からダミ声で「なんだ？どうしたって言うんだ？」と聞こえて「私が社長だが、なんですか？」とその人に変わって社長が電話に出てきました。
「求人を見て、お電話しました。
ラベルを貼る人が必要なくらい売れているのなら、営業は要りませんか？」
と私が言うと「別に営業は入れる予定はないけど、あんた何が言いたいの？」と言うので「私、営業には誰にも負けないくらい自信があります。
お役に立てると思います。会うだけでも会っていただけませんか」と更に食い下がりました。
すると社長は「あんたも変な人だね。ま、会うだけでいいって言うなら来てもいいけど…。
採る予定はないけど、履歴書だけ見せてもらうか」ということで、後日その会社で社長に会うことになりました。
これが、HY社長との運命的な出会いでした。