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魂磨きの人たち(11)

銀座のパワハラ社長T社長
Mさんは実家の隣の息子なので、学年は違いますが、私とは幼なじみです。
今回のT社長からの電話について彼に相談しましたら。
「そんなこと言ってるんですか。困ったものです。
だいたい3カ月前に資金ショートして潰れそうになった人が、そんなに早く1000万返済できる訳ないでしょう！
本当に申し訳ないです」
「いえ、T社長に助けていただいたのは間違いないことなので」
「叔父はそうやって金で人を弄ぶところがあるんです。
私の方からも何とか伸ばしてもらうよう言っては見ますが、でもあの性格でしょう。
一歩間違うと火に油を注いだようになって、もっと難しくなったりするんですよ」ということでした。
月末私は、運転資金の残りと仕入先の支払いを伸ばしてもらった分を足して1000万円を用意し鞄に詰めて飛行機に乗りました。
飛行機に乗る前に、手荷物検査の画像に札束が写ったら係官の顔が変化するのか興味があって見ていましたが、
全く反応がありませんでした。
多分、私のように振り込めない理由の大金を持って乗る人は珍しくないのかもしれません。
それにしても甥っ子のMさんに会った時、
別れ際に彼が「私は誉清さんが羨ましいですよ。
誉清さんは今回のお金の事が済んでしまえば叔父と切れることができますよね。
でも、僕はあの叔父と血が繋がっている限り、切れることはないんですよ。
一生あの人と付き合って行かなければならない。
親戚に大金持ちを持った悩みってあるんですよ」
という言葉が忘れられませんでした。