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魂磨きの人たち(8)

銀座のパワハラ社長T社長
タクシーを途中で降りて通りを歩きながら、社長は上機嫌で説明を始めました。
「なあ、誉清ちゃん見てみろ、銀座はそんなに大きな街じゃないんだ。
俺たちの故郷みたいなもんだ」私を子供の頃の呼び名で呼びながら。
「あの街に例えると、いいかこの辺が駅だ。
そしてここが呉服屋あたり、こっちは床屋だ。
分かるか、俺はいつも同んなじだなあって思うんだ。
小さな村みたいなもんだよな。
だから財布を忘れても飲みに行ける。
みんな顔見知りってやつだ。
よっ！って入って飲んで、よっ！って帰る。
財布なんて出すのは銀座人にとってはダサいことなんだ。
もちろん後で会社に請求書は届くさ。でも顔パスじゃないと銀座の住人じゃない。
本物じゃないんだよ、分かるか？。
んで、次に行くのは一限さんは絶対に入れないバーだ。
クラブも2軒やってる銀座の有名なオカマのママだ。
ここは大抵、政治家や超有名人や俳優なんかが、お忍びで飲む店だ」と言いながら、ママに確かに「よっ！」と言いながら入って行きました。
「ママね、こいつどう思う。
今はこいつちょっと苦労してるんだけど見込みあるかな。
ママの目からどう思う？」
ママは「ハア、なかなか良いじゃない」とお世辞だとは思いますが褒めてくれました。
私はママに聞きました。
「ママは銀座で成功している人を沢山見てるでしょ。
その人が今後、駄目になってゆく時って分かります？」と言うと。
「分かりますですよ。
女は恋が駄目になり始めると直ぐに顔に出ます。
仕事じゃそういうことは有りません。
でも、男は逆です。仕事が駄目になり始めると顔に出るとです。
なあーんか、醜ったくなーくなるとですよ。」と答えました。