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魂磨きの人たち(2)

銀座のパワハラ社長T社長
飛行機の中で私の隣に座ったT社長は、東京に着くまでの1時間半間、私に向かってまるで機関銃のように話し続けました。
私は飛行機のエンジン音の中、話が聞き取りにくいし、その話の展開について行くのがやっとでした。
羽田に着くと彼は「ホテルはどこにしたの？」と聞くので「品川プリンスです」と答えると、「私は目黒まで行くので一緒にタクシーに乗って行きなさい」と、ホテルまで乗せて頂きました。
車の中で経済の話をしながら「いいか、覚えておきなさい。金に困ったらいつでも私に電話するんだ。君と私はあの小さな町の生まれだ。他人ではないんだよ」と言ってくれて、ホテルの前でお礼を述べつつ見送る私に「じゃ、また会おう」と手を振って帰って行きました。
数年後に彼との再会があると、この時は考えてもいませんでした。
この後も、私の事業はどんどん大きくなり始め、私は得意の占いで自分を占います。
でもその結果は「暗い山道を、足元もおぼつかないまま下るのみ」というもので、全く自分の占いが信じられませんでした。
でも、それは当たっていて資金繰りが思うようにならなくなって行きました。
もう、今月の手形が落ちなければいよいよ倒産というある日、私の携帯に電話がありました。
T社長でした。「おい、最近お前、毎日のように商工会議所の会頭のとこ行ってるっていうじゃないか。
何しに行ってるんだ？金じゃないのか？
金のことなら俺に電話しなさいって言ったじゃないか。忘れたのか？。
明日、東京に来いよ」私が「えっ、明日ですか？」というと「何が明日ですか？だよ。そんなこと言ってる場合じゃないだろう。
明日俺の会社においで。わかったね」と言って電話が切れました。