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魂磨きの人たち(1)

銀座のパワハラ社長T社長
私がT社長に会ったのは、これまでの話より少し遡りますが、私が自分の会社を倒産させる数年前でした。
この当時の私は事業が成功していて、自分のやることは全てうまく行くと自惚れていました。
北海道で急成長しているベンチャー企業の経営者ということで、よく地元のテレビ局や北海道の経済紙でも取り上げられて有頂天の頃です。
北海道から東京の大手メーカーとの打ち合わせで毎週のように東京便の飛行機に乗っていました。
そんな頃だったのですが、このブログの「幽体離脱(2)」でも書いたあの隣のスーパーのおばさんと息子さんが誰かを見送りに空港に来ていたました。
私が挨拶すると、見送られている人物が私を誰だろうという顔で見ていて、隣のおばさんは私を「ほら、隣の息子さん。こんなに大きくなって今は立派なお仕事してるんだよ」と彼に紹介しました。
彼は私の方を指差して「あー、あの母さんについてよく買い物しに来てピーピーうるさく泣いていたあのガキ！」と言って笑いました。
私はその頃は小さかったので、彼の記憶はありません。
一緒の便に乗ることになった私達は、隣のおばさん達に見送られて乗り込みました。
席に座ると彼が空いている私の隣の席に「ここ、座っていいかな？」といって近づいて来ました。
噂には聞いていたのですが、亡くなった隣のスーパーのおじさんの弟で、今は東京で成功している東証1部不動産大手のT社長でした。
「君は今どんな商売してるの？」と聞かれて、私は「コンピュータソフト開発です。
メーカーとの打ち合わせで、これによく乗ります」と答えました。
これがT社長との運命の出会いでした。