運命の出会い(14)
宗教家S .Aさん
月明かりに浮かびあがる山路を白装束の十数人が登っていきます。
皆、無言で歩くのでザック、ザックという足音だけが聞こえます。
正にその最中でした。
私は肉体から意識が離れかけたような、めまいのような感覚に襲われました。
そして次の瞬間、夜道の風景が重なるような映像がフラッシュバックして、心の中で「ちょっと待てよ、今はいったいいつの時代だろう?」
ここは何処で、今の年号は?と考えていました。
今が平成の時代であるということを思い出すのに少し時間がかかったような感じでした。
こんな感覚を味わったのは人生で初めてでした。
多分昼間の祝詞奏上のトランス状態が影響しているのだと思いました。
そして、この感覚は少しずつ強くなりながら3日間の間、何度も起きるようになって行くのでした。
水宮に着くと、全員目隠しをされました。
「一人一人奥の祭壇がある部屋に手を引いて案内をしますので、決して見てはいけません」との事でした。
まるで中世の黒魔術のようだと思っていると私の番が来ました。
引かれて行くと、祭壇の前なのでしょうか、ピチョン、ピチョンとゆっくりと水滴の落ちる音がします。
そして何人の神職がいるのでしょうか、祝詞を唱える声が続いています。
一人の神官が呪文のような言葉を唱えながら私の額に水滴を落としました。
この行はこれで終わりでした。
手を引かれながら入口の方の部屋に戻り目隠しが外されました。
修行の一日目は深夜にやっと終わりました。
長い長い一日でした。
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