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彼女の家は貴族ではないけれども、父親は地元の有力者でとても裕福な家でした。


両親はあまり伝統に縛られる性質ではなく、彼女はのびのびと育ちました。


彼の方はどちらかというと没落貴族だったのかもしれません。

何人か兄弟がいるうち、生まれた順番でいえば下の方だったようです。


ひとまわり近く年は離れていましたが、二人は許婚となっていたようでした。

彼女は彼とは数回しかあったことは無く、自分が彼の婚約者であることを知りませんでした。

それでも、まだ幼かった彼女にとって、彼は特別な人という印象が残りました。


恋愛感情としては片想いに近いのかもしれません。
素朴だけれど、とても強く、いつか一緒になりたい。

そんな憧れがあったのかもしれません。