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「万葉集」には恋愛について深い思いが歌われたものがたくさんあります。
今日は、見切りをつけた潔い女の心意気が伝わる歌についてお話いたします。

☆彡.。
相思はぬ人を思ふは　
大寺の餓鬼の後（しりへ）に額付（ぬかつ）くごとし

笠女郎(かさのいらつめ)という奈良時代の女性歌人の歌です。
｢万葉集｣に29首の好きな人への歌が、
季節や旅先など、自分の思いを物に喩えて表現されています。

笠女郎(かさのいらつめ)は大伴家持（おおとものやかもち）という男性貴族に深い愛を抱いたのです。
彼も、この「万葉集」の中に数多くの歌を残した方でもあります。

彼女にとって、中納言まで昇り詰めたこの殿方への愛は、身分の差や彼のプレイボーイなお人柄などで全く相手にしてもらえない愛なきものでした。

彼は多くの歌を残したのに彼女に対してはたった2通のお返事しかしなかったそうです。
彼女は29通もの歌を送ったのに…。

彼女は歌を通して、彼のことだけを一途に思い、猛烈な愛情表現をして思いを伝え続けました。

大好きでどうしようもなくて、
でも相手とは格式が違いすぎるのか相手にしてもらえない。
つらい…。
何度も歌で好きな思いを伝えたけれど、わかってはもらえなかった。
自分はもう、やれることはやった。
ここまで相手にされない自分が可哀想で仕方ない。
今まで自分が恋焦がれたあの人に伝えてきたことは何だったのか。

考えていくうちに何かが見えてきた。
相手はこちらを見てくれていない。

バカバカしい。
自分に笑いさえ込み上げてきた。
私って、あの人にとって何なのか…。

もう後ろは振り向かず生きていきたい。

既述の歌中には平安京の中にあった大安寺・薬師寺・元興寺・興福寺の4つの格式高いお寺にある、餓鬼像が出て来ます。

「餓鬼」とは、

生前の悪行のために地獄の餓鬼道に落ちて、いつも飢えと渇きに苦しんで痩せこけた亡者のことです。

彼女は自分の歌の中で、地獄の餓鬼のお尻に向かって拝むということは考えるだけで滑稽で、呆れて自分自身で笑ってしまう、バカバカしいことと喩えたわけです。

彼を愛することを
「餓鬼」のお尻に自分の額を床に思いっきり付けて拝んでいることと同じとしたのでしょう。

ずっと好きだった彼への愛を終わらせるなんて、とてもつらかったことだと思いました。
彼への思いをスッパリと諦めるために、また彼を求めてしまわないようにケジメをつけてこの歌を彼に送ったのですね。

そして本当にさようならの意味を込めて伝えたのでしょう。

これだけだけ愛して相手にもしてくれなかった彼に、何としても大好きだったこと、誰よりも愛していたと力を込めたかったのですね。
お別れの言葉として｢餓鬼｣の話を喩えることで、徹底的に彼の感情を揺さぶってやりたかったのでしょう。

大伴家持(おおとものやかもち) = 餓鬼のお尻に拝む

これを送り付けて彼を貶めて終わらせたのですね。
＾＾凄い！
女の底力と情念やケジメという潔さを感じました。

｢万葉集｣の歌は31文字で作られています。

奈良時代の人は凄いです。
＾＾
ネットワークなど開通してない時代でも、たった31文字で恋愛のコミュニケーションが出来て、ショートメールよりも最大送信文字数が少ないのに、好きな人にこんなにも深い思いが伝えられていたなんて…。
凄いなあ、深いなあと思います。
＾＾
恋愛で愛を伝える方法って、
そう＾＾、今は令和時代ですから色々な方法があると思います。
あり過ぎて、既読や未読に悩まされたり、何も言って来ないのに足跡ばかりつけてくるサイレントストーカーに悩まされたりと近代的ゆえの悩みはあるのは玉に瑕ではありますけど…。
＾＾;

一旦、何かにケジメをつけたい時などはこんな風に表現して自分の気持ちに整理をつけることも出来るんですね。

今日は奈良時代までタイムトリップして来ました。
＾＾
揺れる思いに負けないように頑張っていきたいですね。
私も微力ながらお手伝い出来たら良いなと思っております。

それではご精読ありがとうございました。
🙏
またブログ不定期更新いたします。

Smile＾＾

視迦