
『 会えないはずの人を見た日 』
夏になると
不思議な話を耳にすることがあります。
亡くなった家族を見かけた気がした。
昔の恋人によく似た人とすれ違った。
お盆が近づくこの季節は、
どこか見えない世界との距離が
少しだけ近くなるような気がします。
恋愛相談をお受けしていると
ときどきこんなお話を伺うことがあります。
「彼を見たんです」
そうおっしゃる方の表情は、とても真剣です。
遠く離れた場所にいるはずの相手。
もう会うことはないかもしれない相手。
それなのに、街角でふと見かけた。
慌てて振り返ったけれど
そこにいたのは別人だった。
その人の後ろ姿。
ふとした仕草。
たった一瞬の横顔。
でも、その瞬間だけは
確かに「あの人」だったのです。
「ドッペンゲルガー」
という言葉があります。
よく似たもう一人の存在。
この夏は、その少し不思議な現象をきっかけに、
恋の記憶や面影について
三回にわたってお届けしたいと思います。
ただ、恋愛において
私たちが出会うドッペンゲルガーは
少し違うものなのかもしれません。
それは誰かに似た人だったのではなく、
心が見せた「面影」なのかもしれないからです。
お盆の頃になると
亡くなった人が帰ってくると言われます。
私は時々思うのです。
帰ってくるのは
亡くなった人だけなのだろうか、と。
昔好きだった人。
もう会えなくなった人。
そんな記憶たちもまた
夏の夜になると
静かに帰ってくることが
あるのではないでしょうか。
街ですれ違う誰かの後ろ姿。
電車の窓に映る横顔。
その姿はときに曖昧です。
もしかすると
「ドッペンゲルガー」とは
私たち自身の心の奥に残された記憶が見せる
幻なのかもしれません。
さて。
あなたにもありませんか。
「あの人だった気がする」
そんな不思議な瞬間が。
もしあるのなら。
そのとき見ていたのは、
本当にその人だったのでしょうか。
それとも、
今も大切にしまっている
記憶のほうだったのでしょうか。
ふと、そんなことを思うのです。
過去と現在が静かに重なるような夏の夜に。
ドッペンゲルガーと恋の面影 第一話 | 龍空(ルーク) 先生|電話占いカリス