「私たち、またこの場所で会おうね。」
あの約束が交わされたのは、
10年前の冬だった。
街のイルミネーションが
きらめき、雪がちらつく寒い夜。
佳奈子(かなこ)は、
初恋の人・祐介(ゆうすけ)と
駅前のカフェで過ごしていた。
祐介は、仕事で遠くに
行くことが決まっていた。
「離れていても、必ず戻ってくる。」
「だから、待っててくれる?」
祐介の瞳に宿る真剣な光に、
佳奈子は静かにうなずいた。
その瞬間が二人の最後になる
とは思いもしなかった。
祐介が去った後、二人の関係は
次第に途切れていった。
仕事に追われる日々、
少なくなる連絡、
そして音信不通――。
佳奈子は新しい恋を
探そうとしたが、
心の奥底に祐介の影が
根強く残っていた。
どの恋も彼を超えることは
できず、気づけば10年が
過ぎていた。
今年も、冬がやってきた。
佳奈子はふとした拍子に、
あの約束の場所―
―駅前のカフェへと向かっていた。
そこは10年前と変わらず、
優しい雰囲気に包まれている。
「来るわけがない。」
そう思いながらも、
彼女は心のどこかで
祐介を待っていた。
コートのポケットで
凍える手を握りしめる。
店内に入ると、
あたたかい空気と
コーヒーの香りが
彼女を包み込んだ。
窓際の席に座り、
外の景色をぼんやりと眺める。
降りしきる雪の中、
一人の男性が駅から
こちらに歩いてくるのが
見えた。
その姿に、佳奈子の胸が高鳴る。
近づいてくる彼の顔―
―それは紛れもなく祐介だった。
「遅くなってごめん。」
祐介はドアを開け、
佳奈子の前に立った。
彼の声は10年前と
変わらない温かさを持っていた。
「本当に……待ってたの。」
佳奈子の瞳から涙が溢れ出す。
言葉は少なくとも、
二人の間に再び繋がる
何かがあった。
「もう二度と離れない。」
「今度こそ、一緒にいるから。」
祐介は佳奈子の手を
そっと握りしめる。
その温もりは、
失われた時間を
取り戻すかのようだった。
降り続ける雪の夜、
二人は約束の地で新たな
未来への一歩を踏み出した。
*あなたが主人公の恋愛ストーリーを、ぜひ私にお聴かせください。
【創作小説】雪の駅で交わした約束 | 慶伍(きょうご)先生|電話占いカリス